示唆に富むNDVID

Huang氏 AppleiPadの発表で、ユーザーの期待値のバーを設定した。私は、この事実に興奮している。コンシューマは、今後はiPadをモバイルコンピュータに対する期待値のベースラインと見なすようになるだろう。例えば、ネットブックのグラフィックスがiPadより劣ることは、コンシューマには受け容れがたい。

 iPadが期待値のバーを引き上げたことは、業界全体に、目標を作ったという意味でいいことだ。そして、我々はiPadに対抗するために、もっとバーを高くする必要がある。それには、かなりの労力が必要だ。

 実際、我々はCESでTegraベースのタブレットについて語って以来、世界中のOEMメーカーと、そのバーを超えるタブレットの開発で協力して来た。Tegraベースのタブレットは、率直に言って、iPadより優れたものにならなければならないからだ。それ以下では受け容れられないだろう。




タブレットが成功すると予想する最後の理由は、世界の人口のほとんどが、コンピュータでソフトウェアを走らせることを望んでいないことだ。私の両親は、コンピュータでソフトウェアを走らせない。あなたの両親も多分そうだろう。あなたの両親は、単に日本語の雑誌のようなコンテンツを、楽しみたいだけではないのか?

 人類社会においては、PCで多くのソフトウェアを走らせる必要がある層より、ただコンテンツを楽しみたい層の方がはるかに大きい。こうした理由から、私はタブレットが成功すると結論している。




−−しかし、これまでのコンピュータの歴史の中でタブレット型は何度も登場したが、一度たりとも大きな成功を収めることができなかった。iPadが引き起こしたタブレットブームも、一過性のものと懐疑的に見る業界人も多い。今回、タブレットが立ち上がると考える理由は、どこにあるのだろう。

Huang氏 なぜ今までタブレットが成功しなかったのかを、技術的な側面から見れば、3つの要素が欠けていたからだと考えている。

 1つ目はタッチディスプレイ。タブレットとしての操作のためにタッチディスプレイは必須の要素だ。タッチがないタブレットは、単にキーボードのないノートPCに過ぎない(笑)。

 2つ目は、モバイル向けのプロセッサ。PCで我々が楽しんでいるものを、全て楽しむのに充分なだけのパフォーマンスをモバイルプロセッサが備える必要がある。これが、実にハードだ。

 3つ目は、OSだ。ソフトウェアエコシステムを構築できるOSが必要だ。タッチディスプレイを前提としていて、モダンなコンピュータの機能を全て実現できるようなOSが必要だ。Windowsは、あくまでもPCのためのOSで、タブレットには大きすぎる。

 この3点を満たすことができなかった過去のPCベースのタブレットは、不器用なデバイスだった。3つの要素が一緒になって、初めてタブレットは立ち上がると思う。そして、今回は、この3つが全て揃いつつある。それが大きな違いだ。